Free moverとは

最初の記事にも書いたように、私は「Free mover」としてフィンランドの大学に留学しています。

今日はその「Free mover」という制度について書きたいと思います。

留学の方法

日本から海外の大学に留学する方法は主に

  • 正規留学
  • 交換留学
  • Free mover

の3つが考えられます。

正規留学

正規留学とはその名の通り、留学先の大学の正規の学生として、入学試験を受けて、合格することによって入学する方法です。
フィンランドは昨年まで留学生も含めて学費無料だったため、日本からの留学先として良い選択肢でしたが、今年度から学費が有料となってしまいました。
その学費は、大学やそのプログラムによって異なりますが、年間およそ€4000から€20000かかります(Study in Finlandより)。
現在のレートで€1が130円くらいなので52万円から260万円くらいということになります。
52万円であれば、日本の国立大学の学費と同じくらいですし、円高になればむしろ安いくらいになります。
大学によっては、学費の面だけから見ると、フィンランドの大学はまだ素晴らしい選択肢のひとつではありますが、かなり選択肢が狭まります。

交換留学

交換留学とは、日本の現在在籍している大学と留学先の大学が結んでいる留学協定によってなされます。
これが最も現実的な選択肢であり、多くの留学生はこの制度を利用しているでしょう。
ちなみに、多くの場合、日本の在籍している大学の学費を払えば、留学先の大学に学費を払う必要はありません。
経済的にも、手続き的にも最も留学し易い方法であると言えます。
なお、交換留学の場合は、大学や財団などから多くの奨学金が用意されています。近年では、文部科学省のトビタテ留学Japanという奨学金もあり、経済的負担を非常に小さくして留学することができます。


Free mover

Free moverは、在籍する日本の大学と留学先の大学に交換留学の協定がない場合に用いる方法です。
留学できる期間は大学によって異なりますが、おおよそ、交換留学の場合と同じ待遇で留学ができます。
フィンランドでは、学費が有料化されましたが、学位を取得しない学生(つまり交換留学生など)には学費が課されないため、Free moverからも学費は徴収されません(2016年現在)。
ただし、多くの国では、Free moverからも学費が徴収されます。
Free moverは大学によって呼び名が異なり、Visiting studentと呼ばれることもあります。
例として、ヘルシンキ大学のVisiting studentsのページを載せておきます。

http://www.helsinki.fi/facultyofscience//studies/visitingstudents.html


日本の大学院でいうところの「研究生」のような立場で留学先の大学に通うことになります。
取得した単位の扱いは、留学先と日本の大学それぞれの規定によって決定されると思いますが、基本的に卒業単位に含めることはできないと考えておくべきでしょう。

ちなみに、Free moverとして留学する場合、交換留学とは異なり、経済的に支援してくれる奨学金はほとんどありません。
さきほの交換留学で紹介した、「トビタテ留学Japan」はFree moverであっても対象となります。したがって、この制度がFree moverとして留学する場合に最も有力な奨学金です。
また、専攻する分野によっては奨学金を提供してくれる財団等がある場合もあります。
しかし、多くの場合、この制度を使って留学する場合は全額自己負担で留学することになります。

Free moverとして留学する場合には、そこまでの経済的負担をしてまで留学する必要があるのか、よく考えた上で決めることが重要であることは言うまでもありません。

なぜFree moverなのか?

ここまで、留学制度について紹介してきましたが、正規留学、交換留学ならまだしも、大きな経済的負担をしてまでFree moverとして留学するメリットとは何なのでしょうか。

例えば、学部生であれば、交換留学制度を利用するのがいろいろな意味でメリットが大きいことは想像に難くありません。
しかし、大学院生であればどうでしょうか?
ただ英語を勉強することだけが留学の目的であれば、交換留学で十分です。

「研究」が目的であればどうでしょう。
研究をするとなれば、留学先がどこでも良いというわけにはいきません。
当然、自分の専攻する学部がなければ留学しても意味はありません。
また、指導教員を誰にするのか?ということも重要な問題になります。

つまり、研究留学をする際に、自分の大学の協定校に良い指導教員が見つからない場合、「Free moverとして留学する」という選択肢が現れてきます。

留学協定がないということは、留学の手続きはすべて自分で一から行う必要があります。
もちろん、指導教員との交渉もです。

Free moverとして留学することは、経済的負担に加えて、手続きの面でも非常に大きな負荷がかかります。
何度も言いますが、そこまでして留学するかどうかはよく考える必要があります。